日本では歯科医院を苦手と感じる方が多いせいか、歯の痛みを感じてもすぐには治療に行かない方が少なくありません。しかし海外では「むし歯にならないために歯科医院に通う」という予防治療の考えに基づき定期的に検診を受ける方が多いのです。 当院でもお口の中を健康に保つための歯周病やむし歯の予防治療に力を入れています。
初期のむし歯は歯の表面を覆うエナメル質が蝕まれただけなので、痛みがありません。歯周病も初期段階では自覚症状が現れにくいです。どちらも初期で見つければ、歯をひどく削ったり失ったりせずに済みます。予防治療とはそのための医療です。
PMTCとはProfessional Mechanical Tooth Cleaningの略で、直訳すると歯科医師や歯科衛生士などのプロによる、機械的な歯の清掃、という意味です。自費診療になりますが、保険診療で受けるクリーニングではできない歯面清掃やフッ素塗布が含まれています。 この歯のクリーニングが予防治療では非常に重要です。
一般的に20本以上の歯があれば、ほとんどの食べ物をしっかり噛んで食事ができるといわれています。 歯を失う原因といえばむし歯と歯周病ですが、どちらも歯の表面に付く細菌とそれによる炎症、と原因がはっきりしています。もともとお口の中にはさまざまな細菌がすんでいて、食べ物や飲み物に含まれる糖分を栄養に増殖することでトラブルになるのです。 歯科医院で適切な予防治療を受け、きちんとした歯磨きでお口の中をきれいに保ちましょう。
歯科衛生士による口腔内のチェックから始め、お口の中の状態がわかったら歯のクリーニングを行います。むし歯や歯周病のもとになる歯石も定期的に除去します。 歯磨き指導では染め出し液を使って患者さまの歯の磨き残しをお知らせし、歯科衛生士がブラッシング指導をします。 歯がきれいになったら歯質を強化するフッ素の塗布をします。フッ素には失われた歯のエナメル質を元に戻す効果があり、乳歯でも永久歯でも効果が期待できます。
患者さまのお口の状態を把握するための診査が行われます。歯周病の状態やむし歯の兆候などがわかり、予防のために取るべき対策を決める指針になります。 診査のために行われる検査は口腔内診査や歯周組織検査、レントゲン撮影などが主ですが、他に「唾液検査」、「噛み合わせ検査」などがあります。 診査でむし歯や歯周病が見つかったら歯科治療に切り替わりますが、異常が見つからなければ予防処置のフッ素塗布をするだけで終了です。
むし歯や歯周病の予防というと歯科医院でできることだけのように考えがちですが、自宅での毎日の歯磨きもとても大切です。 ほとんどの人が歯磨きをする際にその人なりの癖があり、磨き残しができます。この磨き残しを少しでも減らすために、歯垢に反応する薬液を歯に塗る「染め出し」を行い、歯磨きが不十分なところを患者さまにお見せします。
歯石とは、歯についた歯垢(プラーク)が堆積してお口の中のミネラルと結合し、石のように固くなったものです。歯石の周りには新しいプラークがつきやすく、むし歯や歯周病の原因になるので、歯周病対策では歯石除去は重要です。 歯についた歯石の除去はスケーリングといって、スケーラーという専門の器具を使って除去します。スケーリングでむし歯や歯周病の進行をストップさせ、悪化の予防ができるので、定期的に受けることをおすすめします。
歯を失う最も多い原因は、若年層はむし歯ですが、40代以降になると歯周病に変わります。 一度歯周病になってしまうと完治は難しいものです。しかし、定期的に歯科医院で検診と歯のクリーニングを受けることと、自宅での歯磨きの改善で、進行を止めることはできます。 大切な歯をより多く残すためには、歯周病のコントロールは必須です。当院では特に歯周病予防に力を入れておりますので、ご不明な点などがありましたらお問い合わせください。
定期的な口腔ケアは、むし歯や歯周病の予防のためにとても大切です。 むし歯が進行すればつらい痛みに悩まされた上に歯を削ることになりますし、歯周病が進行すれば健康な歯を失いかねません。 定期検診を受けていれば兆候の段階で対応ができます。また、歯磨き指導でご自身の歯磨きの癖を少しずつなくし、ご自宅のケアも向上すればより健康な歯を維持することが可能です。 お口の健康を守るためにも、定期検診の受診をおすすめしております。